群馬県高崎市前橋市の司法書士行政書士

私が昔に書いた記事のスクラップです。後ほどまとめる予定。

民法の消滅時効について。(非債弁済か。自然債務か。)  最近、ふと思うことがありまして、時効完成後に支払いを受けられた人は、どのようになるかを考えてみました。 解りやすく、お金の貸し借りで考えてみます。  民法は、消滅時効について定めており、これは法文上は自動的に消滅するかのように読むことが出来ますが、「お金を借りた人から『時効だから払わないよ』と言われるまでは消滅しない」と言うのは争い無く明らかなので今回は考えません。  今回は、お金を借りた人から「時効だから払わないよ」と言われたにも関らず、後でその人が改心して払ってきた場合です。  この場合、明確な判例は見つけられませんでしたが、一般的な説によると非債弁済であるから不当利得になる。しかし,不当利得だとしても返還する義務は無い(民705条)。  ちなみに、借りた人が破産した場合は、あくまでも破産免責は「今後、裁判所は貸した人の手助けをしない」と言う宣言なので、裁判所が関らずに任意で受領した場合は問題なく受け取れると考えることが出来ます。(「自然債務」と言う特殊な債務になります。)  時効消滅の話に戻しますが、「(例えば)10年も放って置いたのだから、いまさら文句言うなよ」と言う話も出来ますが、優しさや事情があって請求出来なかったこともあると思います。 と、まあ、長々と話ましたが、時効消滅後や破産免責後に支払う意思があると言う人は居ないから不毛な話しですね。

消費者契約(クーリングオフ,解約)について  なぜかいつも刑事法関係の話題ばかりなので、たまには民事法関係も。  特定商取引(訪問販売(キャッチセールス含む)・電話勧誘・連鎖販売取引(マルチ商法)・通信販売・継続的役務(エステ,○○教室)・業務提供誘引販売取引(内職商法,資格商法)などなど)について、クーリングオフや解約が出来るイメージ的なものは多くの方がご存知だと思います。  ”解除・解約できない場合”で、勘違いし易い点や問い合わせが多い点をザックリ言いますと・・・  1,自分から積極的に申し込んだような場合。(自分から積極的に売主の店舗に行ったり、自宅に呼びつけた場合。)  2,通信販売で、返品や解除などが出来ない規定があった場合。  3,消耗品で、一部使用後は、返品や解約などが出来ない規定があった場合。  4,クーリングオフ期間を経過してしまった場合。  5,自動車  逆に言えば、それ以外は、クーリングオフや解約が出来る可能性が大いにあります。また、上記に該当する場合でも、契約そのものに欠点がある場合や許されない場合に、クーリングオフ・取り消し・無効の主張が出来ることがあります。  一般論として、「不真面目な業者から買ってしまったので困っている」と言う人が多い訳で、不真面目な業者には法的に主張できる点が多いと言えます。  例えば、消耗品(健康食品・化粧品・クリームなど)でも高額なものなどは簡単に諦められませんよね。  お困りの時は、当事務所へご相談ください。  内容証明郵便の作成は、トータルで見たら業界トップクラスで安いと思います。  参考としてクーリングオフの期間を下記しますが、”あくまでも”クーリングオフ制度の期間です。  参考:クーリングオフ規定の書面を受領した日からのクーリングオフ期間 8日 ・訪問販売 ・電話勧誘販売 ・特定継続的役務取引 ・宅地建物取引     ・保険 ・ゴルフ会員券 ・小口債権販売契約 ・不動産特定共同取引 10日 ・投資顧問契約 ・商品ファンド取引 14日 ・現物まがい取引 ・海外先物取引 20日 ・連鎖販売取引 ・業務提供誘引販売取引

なぜ,海外に居るのに公示送達が出来るのか。  覚せい剤の譲受で海外に渡航しており、帰国して逮捕された話題の女優さんがいらっしゃいますが、この女優さんを海外から引き戻すために利用しようとした旅券返納命令。  旅券返納命令は、ざっくり言うと、2年以上の犯罪を犯して、逮捕状が出て居る者に出されるかもしれない命令です。その命令が出て一定期間後に旅券(パスポート)は効力を失い、海外に居るわけには行かないので日本に帰ってこいと言う意味です。  私が疑問としているのが、この旅券返納命令そのものでは無く、これを公示送達によって行えることが不思議でなりません。  公示送達とは、送達をしたい相手方の居所が不明な場合などに、相手方に送達したものとして扱う。つまり、相手方はその内容を知ったことになる。と言う日本法によって行われる強力な手続きです。  日本法は、原則として日本国内で効力を有するものですが、例外的に海外でも適用できる場合があります。ただ、その例外の場合でも、本人またはその相手方となる者が、日本法およびその適用される事実が生じたことを知っているから通用するのだと思います。  例えば、海外で、外国人Bを殺した日本人Aが居るとします。その場合、日本人Aは日本法を知っており、かつ、自分で殺したから当然に殺した事実を知っている。だから日本法が適用できる訳です。人を入れ替えても同じです。必ず、日本法を知る者、日本法が適用できる事実を知る者が存在します。  では、その女優さんの場合はどうか。  この方は日本人なので、日本法は知っていることになるからこの点は問題ありません。  次に、自分が旅券を返納させられるべき事実、犯罪事実を知っているのかと言うことですが、「私は日本で犯罪を犯してきた。」と言うことであれば、返納命令が書かれている法律、そして、返納命令が公示送達によって行われることを知るべきだったので日本法が通用し,公示送達が行えると言えます。  しかし、犯罪を犯したわけでも無い健全な国民が渡航した場合にまで、その公示送達が使えるのかと言うことには非常に疑問です。  そもそも公示送達は、その強力な効力から不用意に使えるものでもありません。  今回は、官報に掲載して公示送達をするようですが、この官報は国内で発行されるものです。(尚、官報の一部はインターネットで見れますが、その場合の法的効力は否定されている筈です。仮に、官報が海外領事館で閲覧できるとしても、健全な国民までもその内容を把握しなければならないとするのはあまりに酷であると思います。)  法律も新しく出来た場合は、官報によって知らされます。破産事件なども官報で知らされます。  しかし、新規法律の場合は、法律はそもそも一般的抽象的なものであり、また、破産事件などは言ってしまえば単に経済的なこと。  私としては、海外に居る者の個別具体的かつ身分的な制限を、公示送達によって強力に行うことはいかがなものかと思う次第です。

行政書士の職務上請求について  行政書士、弁護士や司法書士などその他いわゆる士業と言われる者は、依頼に基づいて他人の戸籍謄本や住民票を取り寄せることが出来ます。  行政書士会に入会していると、会報が送られてくるのですが、今回は一枚真ん中に「重要」と大きく書かれた紙が同封されていました。  職務上請求書の取り扱いについてなのですが、行政書士の職務範囲を超えて職務上請求をしている者が居るようです。  請求するに当たっては理由付けが必要なのですが、その理由欄に行政書士法に基づかないことも然ることながら法律の根拠に基づかない理由を記載している者が居るとのこと。厳しい言い方をすれば、法律を知らない行政書士と言うことです。もしかしたら倫理を知らないのかも知れません。  理由欄の記載も、事実上はこちらに任されているのだから、その信頼を裏切るような行為があれば、自らの首や他の行政書士のみならず、他士業の首を絞めることになる。  行政書士になる道も、なった後の道も一つでは無いですから、こういう行政書士が出てくるのは仕方ないと言えば仕方ない。しかし、こういう者が居るせいで全体の評判が落ちるのは勘弁してもらいたい。  もちろん行政書士に限った話では無いのですが。

判例と判例の拘束力  先日、私が私人として、法に則った仕事をして頂けない某行政庁の担当官と話をした時のことです。(担当官も基本的には熱心な方なのでそこは酌んで抽象的な話に留めておきます。) 担当官「~と言うことは出来ないんですよ。」 私「おかしいですね。○○法第○条があります。法律上しなければならないのでは無いですか。」 担当官「法的にはそうかもしれませんが、実務上それは出来ないんですよ。」(※1) 私「『実務上』ですか。ならば、実務の結晶である判例では○○のようになってますよ。」 担当官「判例と言うのは、その個々の事件の話であって、常にそうなるとは限らないでしょう。」 私「『実務』の話としてお答えしたのですが。それに判例に拘束力があるのは裁判所法や手続法から明らかですよね。」(※2) 担当官「この前だって、何年も経ってDNA鑑定が間違っていたじゃないの。だから判例は個々の事件の・・・ぶつぶつ・・・」 私「その事件は事実認定の誤りの問題であって、判例とする法解釈の問題とは違う。まったくレベルが違う話です。」(※3) 担当官「あ・・・・。」  などと言う会話をしたわけです。今回私は、この会話の全体に特に意味を求める訳ではありませんが、気になる点が幾つかあったので紹介しました。 各ポイントごとに説明しますと・・・  ※1、この部分は余談になってしまいますが、担当官のこの発言は非常におかしいのです。行政庁は、法に従った行動を取らなければならないのは当然であり、この担当官は「法律を無視しても良い」と言う前提に立っているのですから。  ※2、判例に事実上の拘束力ががあるのは明らかです。簡単に言えば、言葉をコロコロ変える人は嫌われます。自分で自分が言った言葉を変えるのは相当な勇気が要ります。裁判所という言う強大な権力者が判例をコロコロ変えたら国民から信用されないのです。(裁判所法第10条第3号、民事訴訟法第318条、同第337条第2項、刑事訴訟法405条第2号、同三号)  ※3、裁判所は、判決をするに当たって、大きく二つのことをします。「事実の認定」と「法の適用」。このうち、「法の適用」は特に裁判所の専権であり、これを裁判例と言います。  「実務は判例で動く」。法律と言うのは一見明確なように見えても、実はかなり穴があります。また、法文の読み方は人によって違うのでそれを統一しなければなりません。その考え方を示すのが判例であり、通用するものなのです。

特別養子制度が出来た由来  通常の養子縁組は、簡単に言えば、親が二重にできます。生みの父母と縁組の父母です。もちろん相続も二重になります。  特別養子制度は、生みの親とは縁を切って、縁組をした父母のみと関係を構築する制度です。  当初私は、「特別養子制度は審査が厳格だし、そもそも相続を二重に受けられないなんてメリットがあるのか」なんて考えもありました。民法の立法者もどのように考えていたか解りませんが、最近まで(1987年制定)は特別養子制度はありませんでした。  なぜこの制度が出来たかと言うと,医師の菊田昇さんと言う方が、望まれずに生まれた子を、別の親の子として届ける書類を偽造していました。生みの親の戸籍に子の記載を残さない為、子の戸籍に生みの親の記載を残さない為です。  菊田先生は、偽造を何度も繰り返し、後に、その事実を嗅ぎ付けた新聞記者に「私の行っているこの違法行為を新聞の一面で取り上げて欲しい」と逆に迫ったとのことです。それによって公になり、菊田先生は様々な処分を受けるなどをしましたが、その後も熱心に活動され、国会にも参考人として呼ばれるなどをし、ついに特別養子制度が立法されたと言うことです。  この制度に基づく戸籍で、その戸籍から血の繋がりが無いことが読み取れてしまうかと言われれば、それはまだ不完全です。ただ、書類上は,普通養子よりはより深い繋がりが読み取れるような気はします。 特別養子で親子関係を築いた人の記事など見ると目頭が熱くなりますね。

内容証明郵便を確実に届ける  当事務所で依頼を受ける件数が多い内容証明郵便ですが、その依頼を受けるに際して心配なのが、(1)相手方が受け取らなかった場合、(2)相手方が知っている住所に在住しているか、の二点です。 (1)相手方が受け取らなかった場合  特に心配なのが、やはりこちらです。  配達時に相手方が不在で、その後に故意または懈怠などによって受け取らない場合です。この場合には、内容証明郵便は相手方に配達されずに当事務所へ返送されてしまいます。  そこで、相手方に到達するように送付する対策を別料金で行っております。当事務所がその対策の依頼を受けるケースは、半々くらいです。  その方法は詳しくは申し上げませんが、時効の停止が差し迫っている場合はもちろんのこと、相手方が到達を争うような人であれば、効果的と考えられます。  折角、内容証明郵便として出したのに、それが相手方に到達しなければもったいないですね。 (2)相手方が知っている住所に在住しているか  こちらは、多くの場合は問題になりませんが、稀に心配になることがあります。経験上は一割くらいです。  不存在の場合も、やはり内容証明郵便は返送されてきます。  相手方がそこに在住しているどうか不正確な場合は、相手方の所在確認をしてからのほうが良い旨を伝えます。ご自身で確かめに行っても良いですし、行政書士も確かめることが出来ますので、当事務所で承ることもできます。。  依頼者さんの意向で一か八かで送ったこともありますが、不存在だったこともあり、非常にもったいないことをしたときもあります。  内容証明郵便はその性質上到達しないと言う欠点もあるのです。(それを言えば裁判の訴状の送達も同じ面はありますが。)実は、行政書士はこの欠点を補うことも出来るのです。 ※尚、クーリングオフの場合は、(1)は検討する必要がありません。到達しなくても法的効果が発生します。

八ツ場ダム。60年もの苦悩  そこは「耶馬溪しのぐ吾妻峡」と言われるほど、景色が良いところです。  私は、八ツ場ダム問題で揺れる吾妻郡出身の人間です。直接その町の人間ではありませんが、そこは良く通る土地です。  地元の方は、約60年の歳月を戦ってきました。想像を絶する心労があったと思います。そして今も。  私は、数年前に「ようこそダムの底に沈む川原湯温泉へ」と言う看板を見た時は、非常に心が苦しかったです。  国からは「所詮消える地域だから」と言うことで、インフラの整備もなされず、立ち退きを強要されてきました。数十年戦い、諦めた者はその地を離れ、残った者も疲れ果てて、自分の生まれた家・土地・景色・地域・地名すら消滅する悲しさを渋々受け入れることにしました。しかし、今度はダム建設の中断。では、現在の生活を続けられるかと言えば、国からの回答は保留。この地の経済は非常に廃れています。  群馬県の、そして吾妻の、中期的な経済のことを考えれば、おそらく建設したほうが良いと思います。  国家100年で見れば、おそらく良くないものであると思われます。 私としては・・・ 1,地元の人々は、歴史を辿れば、鉱山開発のせいで生物が住むことの出来なくなった「死の川」を復興すべく努力しました。その結果、自然の恵み豊かな川に再び戻すことができ、今では写真や景色愛好家さまたちにも好まれる絶景となりました。  ダムが出来たらその景観が壊れるのはもちろんの事、水の強酸性質などにより、貯水するごとに生態系が崩れ、川は濁り、水質は悪化し、再び「死の川」となると思われます。 2,金銭的にも、2200億円支払って、たった80年しか使えないの水源と治水能力を求めておられます。いや、予定額を5000億~9000億に増額されたとの話もあります。 3,水源の能力で言えば、実際問題として不便を感じたことはありますでしょうか。しかも、これから人口が減ることも承知の上で、まだこれ以上の水源が必要でしょうか。 4,治水の能力で言えば、浅間山の火山灰で出来ている地盤です。地盤が固いとは言えません。地下水が湧き出てきたり、井戸や温泉が比較的簡単に出る地層です。治水に期待している筈が、ダム決壊の強大な危険を態々作る事は本末転倒では無いでしょうか。  したがって、一刻も早く、この中止のまま、住民らに補償をして、地域経済をあるべきレベルにまで戻して頂きたいと思います。次世代にこの遺恨を残さない為にも、一刻も早く。 「私はどうかこの渓間の林がいつまでもいつまでもこの寂びと深みとを湛えて永久に茂つてゐて呉れることを心から祈るものである。ほんとに土地の有志家といはず群馬縣の當局者といはず、どうか私と同じ心でこのさう廣大でもない森林のために永久の愛護者となつてほしいものである。若しこの流を挟んだ森林が無くなるやうなことでもあれば、諸君が自慢して居るこの渓谷は水が涸れたより悲惨なものになるに決つてゐるのだ。」若山牧水

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